1. 品詞と文型#

本章では、品詞・文型について、基本原則と要点を整理する。

I.品詞

名詞・形容詞・冠詞・副詞・動詞・数詞

フランス語の品詞は10個あるが、基本的に英語と同じであるが、フランス語特有の概念や特徴などについて、特に解説の必要な品詞に絞ってそれぞれ解説する。

i.名詞

名詞について特筆すべきことはやはり性の概念である。フランス語の名詞は、原則男性名詞か女性名詞に区別される。人の場合は考えやすい。例えば、「homme(男性)」は男性名詞であり、「fille(少女)」は女性名詞である。一方、ものについては、男性名詞か女性名詞かを直観的に区別することはできないので、個別にそれぞれ覚える必要がある。

[参考:男性名詞と女性名詞の区別方法]

-age、-ment、-eau、-teurで終わるもの→男性名詞

-tion、-sion、-té、-esse、-etteで終わるもの→女性名詞

(例外もある)

ii.形容詞

基本的に形容詞は名詞を修飾するが、名詞には性数があり、形容詞は名詞の性数に合わせて、その形を変化させなければならない(詳しくは、"性数一致"の分野で解説する)。また、フランス語も英語同様、限定用法と叙述用法の区別があるが、限定用法の場合、フランス語は原則後置修飾である。

iii.冠詞

冠詞の種類・無冠詞・冠詞の変化

(1) 冠詞の種類

男性形女性形
可算不定冠詞単数形unune
複数形des
定冠詞単数形le (l’)la (l’)
複数形les
不可算部分冠詞du (de l’)de la (de l’)
定冠詞le (l’)la (l’)
  • 括弧内は直後の名詞が母音始まりの時に用いる。
  • 「du」は「de le」の短縮版だとみて、部分冠詞は「de+定冠詞」で作られると考えて良い。
  • 太陽や月などの唯一物や全体的な概念には、原則定冠詞が用いられる。
  • 唯一物などでも、形容詞を用いて修飾する場合には、不可算名詞が用いられることが多い。

(2) 無冠詞

① 冠詞の代わりになる語(所有代名詞、指示代名詞、数量詞など)が付いている時

  • votre nationalité (あなたの国籍)、ce garçon (この少年)

② 一部の前置詞(en, sans)などの後ろにつく場合

  • sans effort(努力なしに)

③ 都市名

その他、慣習的に冠詞が付かない場合などがある。

(3) 冠詞の変化

A. 縮約形

① à+定冠詞

à+le → au、à+les → aux

② de+定冠詞

de+le → du、de+les → des

B. 否定文の冠詞「de」

否定文において、① 不定冠詞や部分冠詞が、② 直接目的語に付いている場合、冠詞が「de」に変化する。

  • J'ai un chien. → Je n'ai pas de chien.

iv.副詞

副詞の作り方・副詞の位置

(1) 副詞の作り方

基本的に、形容詞の女性形に -ment をつければ副詞にできる。

  • direct → directement、mondial(世界的な) → mondialement

(2) 副詞の位置

動詞を修飾する副詞について、単純時制については、動詞の直後に、複合時制については、助動詞と動詞の間に来ることが一般的である。

v.動詞

être(英語における be 動詞)・avoir(英語における have)・faire(英語における make, do)・aller(英語における go)・venir(英語における come)・-er 動詞・-ir 動詞

フランス語において、動詞は基本的に主語の人称と数に応じてそれぞれ形が変化することが多い。以下に、直説法現在における基本動詞の活用を挙げる。

(1) être(英語における be 動詞)

活用形活用形
一人称単数suis一人称複数sommes
二人称単数es二人称複数êtes
三人称単数est三人称複数sont

(2) avoir(英語における have)

活用形活用形
一人称単数ai一人称複数avons
二人称単数as二人称複数avez
三人称単数a三人称複数ont

(3) faire(英語における make, do)

活用形活用形
一人称単数fais一人称複数faisons
二人称単数fais二人称複数faites
三人称単数fait三人称複数font

(4) aller(英語における go)

活用形活用形
一人称単数vais一人称複数allons
二人称単数vas二人称複数allez
三人称単数va三人称複数vont

(5) venir(英語における come)

活用形活用形
一人称単数viens一人称複数venons
二人称単数viens二人称複数venez
三人称単数vient三人称複数viennent

(6) -er 動詞

活用形活用形
一人称単数-e一人称複数-ons
二人称単数-es二人称複数-ez
三人称単数-e三人称複数-ent
  • -ger で終わる動詞(manger 等)の一人称複数形変化は -geons
  • -cer で終わる動詞(commencer 等)の一人称複数形変化は -çons

(7) -ir 動詞

活用形活用形
一人称単数-is一人称複数-issons
二人称単数-is二人称複数-issez
三人称単数-it三人称複数-issent
  • 複数形の活用形を er 動詞と見比べるとわかるが、ir 動詞の複数形活用形は、「-iss+er 動詞の活用形」の形になっている。

また、動詞は原型のままで不定詞となる。フランス語における不定詞は、基本的に名詞としてふるまうものだと単純化してしまってよい。

  • 不定詞の完了用法は「avoir(être)の不定詞+過去分詞」、受動用法は「être の不定詞+過去分詞」の形で表現できる。

vi.数詞

基数・序数・概数・数詞を使った表現

(1) 基数

フランス語の数字の数え方には、20進法の数え方がベースになっている。それを踏まえて数字を覚えていくと良いだろう。

A

0zéro10dix
1un(une)11onze
2deux12douze
3trois13treize
4quatre14quatorze
5cinq15quinze
6six16seize
7sept17dix-sept
8huit18dix-huit
9neuf19dix-neuf

ここまでで、1〜19 を列挙した。

B

20vingt30trente
40quarante50cinquante
60soixante--
80quatre-vingts--

ここまでの数字の組み合わせで、21〜99 までの基数も表現できる。

具体的には、「{"A"の数字と"B"の数字の和となる基数}={"B"の基数}-{"A"の基数}」と表せる。

  • 22:vingt-deux(20+2)
  • 75:soixante-quinze(60+15)

補足:

  • "B"の数字として 80 を組み合わせに用いる場合は、「quatre-vingt」(s なし)になる。
  • 基数 10〜19 を組み合わせで使うのは、70〜79 及び 90〜99 を表すときのみである。
  • 一桁目が 1 を含むとき、間に「et」を挟んでハイフンでつなぐ。
    • 31:trente-et-un
    • 91:quatre-vingt-onze

最後に、3桁や4桁など、より大きい数字を表すための表現を列挙する。

C

3桁100cent
4桁以上1.000mille
1.000.000million
1.000.000.000milliard
1.000.000.000.000billion

(2) 序数

序数は「何番目の」などといった物事の順序・順番を表す数詞で、その作り方の原則は、「基数の後ろに -ième をつける」だけである。

  • deux → deuxième
  • e で終わっている数字は、e を取って ième をつける。
    • quatre → quatrième
  • 「un(une)」は不規則で、「premier(première)」となる。
  • cinq は語尾に u を加えて、「cinquième」とする。
  • neuf は語尾の f が v になり、「neuvième」となる。

(3) 概数

概数は、正確な数ではなくおよその数を表す数詞で、基数の語尾に -aine を付ければ作ることができる。しかし、これらの概数は女性名詞として扱われるため、実際に文の中で用いる際には、不定冠詞「une」や定冠詞「la」などを伴うことがほとんど(1000 の概数 millier だけ男性名詞)。また、後ろに名詞が続く場合は前置詞「de」が必要である。

  • vingt → vingtaine

(4) 数詞を使った表現

A. 少数

小数点は virgule(記号は「,」)と読み、小数点以下の桁は、(特に小数点以下の桁数が4桁以上で多い場合は)1桁ずつ区切って読まれることが多い。

  • 3,1415:trois virgule un quatre un cinq

B. 分数

分子や分母が大きい場合は「分子の基数+sur+分母の基数」という形で表現する。

  • 18/20:dix-huit sur vingt

分子や分母が小さい場合は「分子の基数+分母の序数(分子が2以上の時に複数形変化あり)」という形で原則表現する。

  • 5/8:cinq huitièmes
  • 分母が 2,3,4 の場合にはそれぞれ特別な単語(demi, tiers, quart)がある。
    • 3/4:trois quarts

C. 四則演算

演算表現
足し算plus
引き算moins
掛け算fois/multiplié par
割り算divisé par
イコールégale/font

D. 時刻表現

「~時(~分)」という場合には「~heures(~)」と表現する。

  • Il est deux heures dix. (2時10分です。)
  • 「~時15分」は「et quart」、「~時30分」は「et demi(e)」、「~時15分前」は「moins le quart」を、それぞれ「~heures」の後に伴って表現することもある。
    • Il est sept heures et demie. (7時半です。)
  • 時間帯を秒数まで細かく指定する場合、「et」を用いて秒数を続け、単位も記載する。なお、表記として、「heure → h、minute → min、seconde → s」とするやり方がある。
    • Il est seize heures vingt et une minute et dix-sept secondes.
    • = Il est 16 h 21 min 17 s.(16時21分17秒です。)

E. 日程表現

事細かに表す場合は、「le+曜日+日+月+年」で表現する。なお、日程を単に述べる場合、その主語は「nous」または「on」になり、動詞には「être」を用いる。

  • Nous sommes le lundi 3 janvier 2022. (2022年1月3日月曜日です。)
  • 「~日」は通常基数で表すが、「1日」だけ例外で序数「premier」を使う。

II.文型

第一文型 (S+V)・第二文型 (S+V+C)・第三文型 (S+V+OD)・第四文型 (S+V+OI)・第五文型 (S+V+OD+OI)・第六文型 (S+V+OD+C)

i.第一文型 (S+V)

主語と動詞のみで構成される最も基本的な形。動詞は目的語を取らない「自動詞」であり、主語が何らかの動作や状態にあることを表す。状態や移動を表す場面でよく使われる。

  • Il dort.

ii.第二文型 (S+V+C)

主語の性質や状態を説明する「補語」が動詞の後に置かれる。動詞は「être(〜である)」「devenir(〜になる)」「rester(〜のままである)」などが使われ、主語と補語の間に意味的な同一性がある。この補語は主語と性・数が一致する必要があり、形容詞や名詞、前置詞句などが補語として使われる。

  • Il est médecin.

iii.第三文型 (S+V+OD)

動詞が「直接目的語」を必要とする「他動詞」である点が特徴。目的語は前置詞を伴わず、動詞のすぐ後に置かれる。目的語が代名詞になると語順が変化し、目的語が動詞の前に置かれる点に注意が必要。

  • Elle lit un livre.

iv.第四文型 (S+V+OI)

動詞が「間接目的語」を取る。間接目的語は英語と異なり、通常前置詞「à」や「de」を伴って動詞の後に現れる。代名詞化すると、間接目的語が動詞の前に移動する。

  • Il parle à son frère.

v.第五文型 (S+V+OD+OI)

動詞が「何を」「誰に」という二つの目的語を同時に取る構造。代名詞化すると両方の目的語が動詞の前に移動し、語順が複雑になるため注意が必要。

  • Elle donne un cadeau à sa mère.
  • 二重目的語のときの目的語代名詞の順序は、① me,te,nous,vous → ② le,la,les → ③ lui,leur の順になる。

vi.第六文型 (S+V+OD+C)

  • On appelle ce garçon un génie.